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パフォーマンスを組み立てる
<作品解説>
ARTLiVE 04 「a Little Blue Rose」

 ARTLIVEは約1年前から企画が練られるが、
この「a Little Blue Rose」の当初の発想は
「少女が花や虫たちに出会い、外の世界を知って
世界がいかに広いかと分かり、
ヨル(夜)に出会って安らかに眠る」という
メルヘン的な原案だった。

ビジュアルイメージが強いARTLiVEでは
こうした発想が先に出てくるのは仕方がないのかも知れない。
しかし、これだけでは約40分の舞台に緊張感を保ち、
観客との接点を見出すのは難しい。
自己満足で終わらないために
数々の討議を重ねた。

 「落書きをする少女=芸術」。
母にクレヨンを取られ家の塀に石をぶつける。
塀から恐ろしい落書きが飛び出して、少女と母親を襲う。
終わりの見えない憎しみの連鎖=紛争。
青い薔薇を描いた紙飛行機で母を銃弾から救う=奇跡を起こそうとする行動。
母との和解=信頼と自信、自立」。
生徒たちが日頃感じている思いが翻訳され、
現代社会の出来事と重ね合わされ
「芸術が平和の奇跡を起こす」という
強いメッセージが生まれてきた。
これが芸術=社会=観客が一体化したARTLiVE空間が生まれる瞬間だ。

そして忘れてはならないのはエンターテイメント性。
楽しく、美しく、涙と感動。ここに若い創作意欲を保つ秘訣がある。
コンセプトからストーリーボードが制作され、音楽、CG、詩、衣装デザイン、
ロゴデザイン、ステージデザイン、照明、音響、ダンス、歌、ファッションショー、
広報、演出、会場係、会計。やっと全体が動き出す。

特に出演者とCGが舞台の上で交差するので、綿密な打ち合わせが必要となる。
 「a Little Blue Rose」は「世界のために何ができるのか」という問いかけから始まる。
かつてのベルリンの壁は、ITの普及により文化情報が伝わって崩れていった。
生徒たちのつくるメディアアートも社会に大きな力を発揮していくと期待したい。

平成19年発行 光村図書「美術1教授資料」執筆



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